赤いストローさしてもらえたらうれしくなっちゃうよねって話
aikoの新曲『ストロー』をテレビで耳にした。
「君にいいことがあるように 今日は赤いストローさしてあげる」って歌詞がすごく胸に響いてきて、なんでだろ?って考えたら子供の頃の経験が影響してるんだろうな~と思った。
子供の頃、家族でディズニーシーに行った時、母親が普段は買ってくれない飾り付きのストローを買ってくれたことがあった。
いつもはそういうものを欲しいって言っても買ってくれなかったし、なんならそのときはそのストローを欲しいとすら思っていなかった。ストローに飾りがついているのもあるんだなあって見てた程度の。
なので、「はい」とミッキーの飾りがついたストロー付きのドリンクを渡された時「なんで?」とかなんとか言った気がする。
母は「お兄ちゃんとお姉ちゃんの受験で、あなたにもいっぱい我慢させちゃったから」みたいなことを言った。
わたしは歳の離れた兄姉を持つ末っ子で、このときはちょうど兄姉が受験生だったので、勉強に集中できるように家で騒がしくしないようにしていた、らしい。そもそもわたしは結構無口な方で、一人でお人形遊びやお絵かきを黙々とやっているタイプだったので、「努めて」静かにしていたわけではなかった。
そういうわけで、そもそも我慢はしていなかったしストローは欲しいとも言ってないので「?」って感じになった。
でも、不思議に思いながらも手元のストローについたミッキーに視線を落とすと、やっぱりうれしくて、ジワジワとあたたかい気持ちが広がっていったのを覚えている。
いつもは買ってくれないような飾り付きのストローを買ってくれたのも、兄姉と同じように自分のことを気にかけてくれていることにも、嬉しいと思った。
ちょっと的外れな気もしたけど、母なりにわたしに何かしようとしてくれたんだろうなって。
そういう母の想いがストローっていう目に見える形で表れたのが、なおさら嬉しかったんだと思う。
社会に出て働いている今になっても覚えているくらいに。
で、そういう思い出が、aikoの『ストロー』を聞いてふと蘇ってきた。
テレビの前には「わかる、うれしいよね、ストローが赤かったらもうすっごくうれしくなっちゃうよね」っていう子供の頃から変わらないわたしと、「わかる、大切な人にはいいことがあって欲しいし、赤いストローをさしてあげたいよね」っていう、大人になって大切な人たちを願う気持ちがわかるようになったわたしの両方がいた。
君にいいことがあるようにっていうのは、子供の頃の母の気持ちみたいにも聞こえたし、わたしの気持ちだとも思った。
今度実家に帰省したら、この話をしたいな。照れくさいので多分お酒の力を借りちゃうけど、それも大人になったからできることなんだ。